2016. 05. 12  
なぜ利休は茶室は待庵(たいあん)と名づけた一畳半
や二畳などの狭い茶室を作ったのでしょうか。

  織田信長が本能寺で討(う)たれた翌年、利休が秀吉
のために山崎城に建てた茶室は、それまでの4畳半のもの
とまったく違ったものでした。 



1 山本兼一著「利休にたずねよ」







    <1 山本兼一著 「利休にたずねよ」 >



  利休は合理主義者です。戦国時代でもあり、秀吉が天
下を手に入れる仕上げの時期で、利休のなお様式美を追求
する感性は、それまでの鎌倉的な豪華な材料を使わず、土
(つち)や藁(わら)や、竹などを活かして「侘び(わび
)」の世界をひろげていきました。
    




2 天下人、豊臣秀吉





     <2 天下人、豊臣秀吉 >



  どこか現代のジーンズをぼろぼろにしてはきたがる若
者から、それを真似したがる中高年の心境にも通じる感じ
がします。

  利休が考え出した道具のかずかずには、茶道以外にも
現代人の生活に引き継がれているものが沢山あります。
     



3 利休が考案した道具の数々






   <3 利休が考案した道具の数々 >



  雪道をすべないように裏に革(かわ)をあてた雪駄(
せった)や、花の一輪挿(しいちりんざし)、両側を細くし
てどちらからでも食べれる利休箸(りきゅうばし)など今
の私たちの暮らしに多くの影響を残しています。




4 茶席の前の一汁三菜の膳






      <4 茶席の前の一汁三菜の膳 >



  茶席の前に出されるお膳(ぜん)も、それまではぜい
たくなものでしたが、利休によって「一汁三菜(いちじゅ
うさんさい)」とおかずも三つにまとめられ、すべてシンプ
ル・アンド・ビューティフルにまとめられました。

  しかしあれもこれも利休の若かりし頃の、せつなくも
なつかしい恋の思い出から出ている、と「利休にたずねよ」
という小説は主張します。

  戦国時代には堺は鉄砲をはじめ、世界からあらゆるも
のを取引して莫大な利益をあげている貿易都市でした。




5 南蛮(なんばん)交易船






      <5 南蛮(なんばん)交易船 >



  その堺の商人の筆頭が革屋(かわや)の武野紹鴎(た
けのじょうおう)だったのです。

  彼はまだ信長が天下を狙う前の当時、彼にとっていち
ばん大事なお客さんで、近畿で勢力を誇っていた三好長慶
(みよしながよし)の求めに応じて、高麗(こうらい)の
ある貴人の姫を差し出そうとしていました。




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      <  最晩年の京、聚楽(じゅらく)屋敷の茶室 >




  金にあかして買い取って長慶に高く売りつける計算で
したが、ちょうど長慶自身の婚礼の前後で、しかも紹鴎が
ぜいたくな茶室を建てて、土蔵をつぶしたばかりで、親し
くしていた魚屋(ととや)の大問屋、千与兵衛(せんのよ
へえ=利休の父)に預けていました。




7




      < 椅子式のお茶席 >



  当時利休は19才、放蕩(ほうとう)息子で父親も困
り果てていましたが商売と茶の湯の才覚はある。




8




         <  その様子 >




とくに美的センスは抜群で、まだ紹鴎に弟子入りする
前でしたが紹鴎もその辺は認めていました。

  我が家に預かることになった高麗の姫を見て、その気
品と凛(りん)とした態度に、いろんな女性をみてきた利
休は心を奪われました。





9



    
         < 武者小路千家の茶室 >




  いろんな世話をしているうちに正義感も手伝ってこの
姫を助け出そうと決心します。




10


      

     < 裏千家の茶室 >




  夜中に父親の鍵を盗み出し、合鍵をつくって土蔵から
姫と一緒に堺の浜に出ます。浜には千家の番小屋がありま
す。六月なので木槿(むくげ)の花が咲いています。

  ところが当てにしていた、逃げて九州へわたるつもり
だった船の船頭に前金をだまし取られて船はあらわれませ
ん。

  とうとう追っ手の侍たちに見つかって、もはやこれま
でと二人で心中、と思ったのです。 が、そこは茶人の端
くれ、お茶をたてて毒薬も入れ、姫は先に飲んで果ててし
まったのですが、本人は情けなくも飲めなかった。

  悔いても悔い切れない状態のまま紹鴎(じょうおう)
の前に引き出されてしまいました。 ところが紹鴎は大物。
「いや、病気で死んだとおもえばいい」と許してくれまし
た。





11



     < 表千家の茶室 >



  その心の傷が、秀吉が是非にといっても譲らない緑色
の香合(香が入ってる小さなつぼ=姫の小指とつめを隠し
入れている)や、浜の狭い番屋での最後の茶の湯として残
って、利休の茶の原点だと小説は語ります。






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